再生医療を始めて10年が経ちました!|愛知県岡崎市の動物病院「ぴゃん動物病院」

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再生医療を始めて10年が経ちました!|愛知県岡崎市の動物病院「ぴゃん動物病院」

院長のブログ

再生医療を始めて10年が経ちました!

2023.03.14  病気

ご無沙汰しておりますます。

院長 宮嶋研一です。コロナ禍で3年が過ぎましたが皆様お元気でしょうか。

私は3年間病院に引きこもりながら、毎日楽しく診療を続けさせていただいておりました。

年に3~4回出席していた学会も開催されず、地方に足を運ぶこともなくなりました。

しかしながらzoomでの開催は行われているため、返って知識を集積する量が増えたと思います。

さて本題に入りましょう。

10年ほど前、まだ獣医再生医療が大阪天王寺で産声を上げて2~3年のころマサミ先生と二人で大阪天王寺に出向き、一から細胞培養の手ほどきを受けてきました。

実際にはマサミ先生が受けたのであって、私は手ほどきをビデオに収めただけですが^^;

 

 

 培養幹細胞

 

なぜ細胞培養に興味をいだいたかと言いますと、当時重症の腰の椎間板ヘルニアに手術を行っても回復が思わしくなく、再生医療で傷ついた脊髄神経を再生できるのではないかと考えたからです。

案の定、手術後の回復がよくないワンちゃんたちに投与したり、高齢で手術を希望されないワンちゃんに投与する事で治療の成績を上げることができました。

椎間板ヘルニアの模式図

変形した神経に培養幹細胞が作用する様子が示されています。

クリーンルーム、培養ケージ

 

次に投与し始めたのが慢性の下痢のワンちゃんネコちゃんです。

ほとんどが他の動物病院からの転院組様で一回の投与でステロイド薬を休薬出来るようになった子、3ケ月に一回投与し続けてる子、最初は反応してたが段々と効かなくなった子と反応は様々でしたが、再生医療を10年行ってきてお勧め出来る疾患の一つが慢性腸症となります。

他院で治療中でガリガリになってどうしようもなくなって再生医療をを行うより、他院様の治療の合間に日帰りで再生医療を行うことをお勧めしたい所です。

反応が全然違います。

 

また上記の疾患の治療中に気づいたことがあります。

本来の治療目的ではない目の乾いて目やにが固まってしまう乾性角膜炎がよくなっている事です。

この経験から乾性角膜炎も再生医療をお勧めする疾患のひとつとなりました。

 

再生医療に用いる幹細胞には当初から免疫力を調整する力があり、細胞を活性化し抗炎症をもたらす細胞であることがわかっていました。

よって自己免疫性溶血性貧血の治療薬ガンマガードの代わりに使用してみました。ガンマガードはものすごく高価なお薬で6Kgを超えるワンちゃんネコちゃんの場合、再生医療で使う幹細胞を投与したほうが安くなります。

効果も抜群です。

 

次に幹細胞の抗炎症作用に期待して、膵炎の治療薬のブレンダZの代わりに幹細胞を投与してみました。

ブレンダZは5日間連続投与が原則ですが、投与後リパーゼの値が1000と変化が無いワンちゃんに幹細胞を投与すると、二日後には180という値になった事もあります。

ブレンダZ5日分の費用よりは若干高いかもしれません。

 

次は発熱、白血球の上昇、肝臓値の上昇のあるワンちゃんに点滴、抗生剤の投与でよくならない場合、幹細胞を投与してみました。

全頭回復に向かい退院することが出来ました。

 

このようなワンちゃんに共通している事は歯石がものすごくて口臭が生ごみ臭であることです。

毎日食事と一緒に口腔内の細菌を食べてしまい、その細菌が腸 門脈を経由して肝臓、胆のうに到着 肝炎 胆嚢炎となり上記の症状を起こしてると思われます。この様なワンちゃんに再生医療の幹細胞投与は特に有効だと思いました。

 

次は腎臓が悪いと言われているワンちゃんネコちゃんです。再生医療学会での発表によるとあまり有効でないこともあり、当初 腎臓の悪い子には投与をお断りしていました。

しかしある時、遠方から来られたネコちゃんで、4歳なのに地元のかかりつけ医、二次病院でBUN,CREが上昇しているが原因不明とのことで来院されました。飼い主さんの希望で幹細胞投与を行ったところ、翌日からが食欲出て最近体重が増えてきたと半年後に連絡がありました。かかりつけ医もびっくりしていたそうです。

遠方の方だったので半年も連絡もなく、私は勝手にやはり反応しなっかたと思っていたので本当にビックリ!

この経験から腎不全の猫ちゃんワンちゃんに投与するようになりました。尿が濃くなり食欲元気が出てくることが多いです。腎不全の経過年数、本人の年齢などなどが関係して結果は様々ですが、もし動物病院で腎臓が悪いと告げられたら、手の施しようがなくなる前に幹細胞投与を試してみてください。すべての症例でいえることですがここが一番大事です。

BUN150 CRE7.0 よりもBUN90 CRE4,5の方が本人の再生能力が高いに決まってるんですから。かかりつけ医に通いながら日帰りで幹細胞投与をするのもありだと思います。

例えば5歳までの猫ちゃんでしたら一年に一回、5~10才なら6ヶ月一回とかどうでしょうか?数値が下がればかかりつけ医の標準治療で維持すればいいわけですから。

こんな話もあります、元々慢性腸炎でステロイド、乳酸菌 食事療法中の13歳の柴犬がBUN100, CRE6,0で入院しました。尿にたんぱくも相当漏れていましたが、標準治療ではよくなりませんでした。ある程度点滴したところで慢性腸炎と蛋白漏出腎不全の治療に幹細胞投与をしたところ翌日には下痢も止まり食欲も出てきました。退院後はステロイドを休薬しても下痢もなく、タンパク尿も3分の1に減りました。

飼い主さん曰く、「顔色が変わってめちゃくちゃ元気、体毛が若い頃のふわふわした感じに戻った。年でやらなくなったボウル投げを催促する。」とかおっしゃていました。

しかしながら3ケ月後から何となく食欲が落ちて便もゆるくなり始めたころ、飼い主様の方から「幹細胞いつなら入れてもらえますか?」と聞かれたのです。

『明日で大丈夫ですよ』と即答しました。

これです、私がやりたいのは、いつでもどこでも幹細胞!!!!!

 奥のがー80度の冷凍庫

今まではー80度の冷凍庫(コロナワクチンを保管するやつ)に幹細胞投与を凍結保存していましたが、欠点は六か月しか細胞が持たないことです。

タイミングが悪いと在庫がない状態になり幹細胞も破棄しなければなりません。

この問題を解消するために最近、液体窒素保存容器を購入しました。これで幹細胞を破棄することがなくなり半永久的に保存可能になりました。

これこそが、『いつでも、どこでも、誰でも幹細胞だあーーー』

液体窒素保存容器 ー196度

PS

先ほどの13歳の柴犬の飼い主さんは念のため1週間に1回皮下点滴と体重測定で来院されてます。いつも話題になるのが幹細胞のすごさです。

わたしたちも何かあったら幹細胞入れてほしいよねって笑っています。どこで可能かな?、、、、、

最近SNSで大阪の耳鼻科のクリニックの先生が幹細胞の上清を点滴で入れていることを知りました。

上清とは細胞を育てた液体の上澄みです。この液体にはサイトカインと言って細胞を活性化する物質が含まれています。

目的は若返り健康維持など、など。一回20万円だそうです

当院では幹細胞の上清を角膜潰瘍、皮膚の傷、脱毛部分に使っていますが、点滴で入れることは可能か確認していないので行っておりません。

 

大阪に出向いて一度チャレンジして皆様に感想をお伝えしたいと思います。

俺の大事 、、、  だいず君 ♂ きな粉さん♀

次の投稿は、やっぱりね!!!!お楽しみに

フィラリアの時期が来る前に書き上げますよ、絶対!

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